【フリーランスとして生きる16】 ライター 中新大地

フリーランスとして活動している方にリレー形式でエッセーを執筆いただいています。第16回はフリーランスとして活躍中の中新大地さんです。

世間の注目とキラキラした言葉に憧れて

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「Web上でもライターの仕事があるらしい」、このことを知ったのは大学2年生の頃(2014年)でした。
今まで人や機会とのめぐり合わせに恵まれて生きてきた自分にとって、フリーランスやライターという働き方との出会いもまた偶然でした。
アルバイト先の本屋さんで何気なく手にとった「副業の始め方」といった類の本。そこに書かれていたのは、「パソコンさえあればできる」、「自分のペースで稼げる」といったキラキラしたワード。
この頃は働き方改革”という言葉が注目を集め、今以上にチヤホヤされていた時期だったように思います。

「今のアルバイト代と同じくらい稼げたら満足」、「文章を書くのは嫌いじゃないから」。キラキラしたワードへの興味と、極めて安易な気持ちから私はライターという仕事を始めました。

世間への疑問と生い立ちが影響したフリーランスへの決意

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安易な気持ちで始めたとはいえ、仕事は仕事。「やるならちゃんとやりたい」とパソコンを新調した私。
ライターデビュー直後は、時給500円にもならない仕事をたくさん受けていました。大学の空きコマに記事を書き、大学からアルバイト先の移動時間で記事ネタを考え、家に帰るとまた夜に記事を書き、家から大学までの移動時間にまた記事ネタを考える。

そんな日々を過ごしているうちに、大学3年生の頃には任せられる仕事の幅は広がり、単価もだんだんと上がっていきました。

ライターとして少しずつ自信を持ち始めた頃、大学内では就職活動への緊張感が高まっていました。
企業分析、自己分析、面接対策、マナー講座、SPI、ボランティア。今までそんなこと気にもかけなかったような人たちが、続々と”就活用の自分”をつくりあげていく……そんな雰囲気に私はついていけませんでした。

労働問題に目を向けてみてもパワハラやサービス残業などの暗いニュースばかりで、世間では「社会人(大人)とはこうあるべき論」といったあるべき論同士がぶつかり合ってばかりいる。正直不毛だと思いました。「よそはよそ、うちはうち」を皆ができるようになればいいと思うようになりました。

会社には会社のメリットがあるのはわかっている。労働問題を解決しようと奮闘する人や会社で輝く人がいることもわかっている。
しかし、新卒でフリーランスの領域を開拓する人はまだ少ない。なら、自分が開拓し、あくまでも選択肢のひとつとして提示できるようになれればいい、そう思うようになりました。

加えてこの頃特に思い出されたのが、幼少期に経験した複数回の引っ越しと親の離婚でした。
両親の選択は尊重していますが、「親の単身赴任がなければ今でも自分は大好きな友達と過ごし、大好き場所に居られたのではないか」、「もう少し仕事の融通が利いていたなら、家庭を省みる時間や精神的な余裕があったのなら、両親は離婚しなかったのではないだろうか」。
就職活動解禁が近づくにつれ、私は自分の生い立ちにも思いを巡らせるようになっていったのです。

ここまで考えたら答えはもう出ていました。新卒フリーランスになって自分らしく生きたい。自分も家族も幸せに生きたい。そうした姿を見せることで、働き方で悩む人の支えになりたい。
安易な気持ちで始めたライターとしての仕事は、就職活動が解禁される直前になってやっと自分のアイデンティティとして確立し、自分の理想とする生き方にも影響を与えるようになりました。

幸いなことに私の選択を疑問視する人はほとんどいませんでした。唯一、はっきりと「厳しい」と言ったのは大学のキャリアセンターの方くらい。もっとも、誰になんと言われようと私の気持ちはすでに固まっていましたから、お気持ちだけ受け取らせていただきました。

その方が心配されたように、フリーランスとしてのさまざまな苦労を現在進行形で経験しています。しんどいなぁと感じることも一度や二度ではありませんが、自分で選んだしんどさなので後悔はしていません。

働き方は生き方、生き方は生きている人の数だけある

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2020年2月現在、私は社会人経験でいえば3年目が終わる頃にいます。ライターの仕事としては始めた当初から継続しているSEO記事執筆のほか、企業サイトのコピーライティングやキャッチコピー制作、SNS運用などの広報まわりのライティングをメインとしています。

ライター業のほかにも「実はすごい人にスポットライトを」をテーマに取材したい人と取材されたい人をつなぐLOOKMEの運営チームに参加。

スポーツ、芸術、ビジネス、教育などさまざまな分野でご活躍されている方の活動や想いが社会に届くようお手伝いをしています。
参考:理想の取材先探しに!取材したい・されたいをつなぐマッチングサービス「LOOKME」β版をリリース

また、昨年2019年末にはクラウドソーシング大手であるランサーズ株式会社の「新しい働き方LAB」岡山キャンパスのコミュニティマネージャーに就任。
すでにフリーランスの方も、副業(復業)実践者の方も、そして働き方に関心のある会社員の方も集まって、交流を深めるだけでなく学びも得られるコミュニティづくりを行っています。
参考:新しい働き方LAB公式サイト

この世界にはたくさんの方がいます。そのひとりひとりに今までの人生があって、大切にしたい想いがきっとあるはずです。
私は自分自身のライターやフリーランスという働き方を通して、どんな働き方を選んでも周囲に尊重されたり自分らしく生きられたりする社会をつくりたいと思っています。

チヤホヤされたり新しい働き方とされたりする、副業やフリーランスという言葉もいずれは当たり前になってほしいです。

「働き方は生き方であり、生き方は生きている人の数だけある」。
大学を卒業して新卒フリーランス3年目を終えようとしている今、私は強くそう思うのです。

文・中新大地

中新大地
「伝えたい」を形にする広報系ライター。
SEO記事執筆のほか、キャッチコピー制作や企業のSNS運用を得意としています。
また、ランサーズ「新しい働き方LAB」のコミュニティマネージャーとしても活動。
働き方を生き方と捉え、多様な生き方を許容できる社会を目指しています。
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