文字単価が〇円以上からと金額を定め、それ未満の案件は引き受けないというライターさんは多くいます。もちろん、法外に安い金額の場合は問題外ですが、本当に高単価な案件だけをとるのが良いのでしょうか。案件を選ぶことは効率性や収入の維持に大きく影響します。

例えば、書籍のゴーストを何回か引き受けていますが、金額的には高額でも割りに合わないものが多くありました。一例をご紹介します。

クライアントの提示額

この案件は、クライアントの相談メールから始まります。まずは「クライアントが信頼できるか」をチェックしたうえで相談に入りますが、そちらは問題ありませんでした。

依頼主は法人であり、教育関連の事業を手掛けています。依頼内容はセミナー関連の書籍のゴーストでした。引き受ける前に、とりあえずskypeで話をしたいとのことで時間を取り20分ほどお話しました。その時点では特に問題がないと思ったのでお引き受けすることになり、プロジェクトは成立です。

この案件のクライアント提示額は約60万。一般的な書籍は約10万字といわれていますが、そこまで満たす必要はないということで、文字単価としては6円超といったところでした。



金額では測れない労働時間

ゴーストということで構成は用意されており、資料もいただけるということで、けっこう楽に進むのではないかと思いました。しかし、いただいた資料は20時間超の音声データです。書くためには繰り返し聞いたりメモしたりする必要があります。そのため、思ったように進まず大事な部分はプロの方に文字起こしを依頼しました。

文字起こし代は約4万円。(※何字だったか忘れましたが文字数的に妥当な金額です)

この時点で、金額的にもったいないとは思いませんでした。むしろ効率的にできるので良かったと思ったのを覚えています。ただ、この間にもクライアントとの細かいやり取りがあり、文字起こしが済んだ時点で依頼から既に半月を経過していました。依頼された月はほかの案件も多く取っていたのでまだ、特に気にしていませんでしたが、このスピード感は案件終了まで続きます。

1章ごとに細かい打ち合わせが入ったため遅々として進みません。依頼のあった翌月もこの案件に割く時間が多く、ほかの案件はあまり手掛けることができませんでした。依頼があってから2ヵ月目に入ると収入は大きく下がってしまいます。

書き上げたころには、いやになっている面もあり知り合いの校正専門の方にチェックを依頼、その後提出、校了となりました。

結局、依頼があった月の翌々月まで制作は続き、1月の依頼が3月半ばの報酬確定でした。

実際に得た報酬

クライアントさん自体は特にキツイというわけではなく、丁寧な対応でしたが、かかった時間を考えると、文字単価とかでは割り切れないものがあります。もちろん、紙媒体の書籍ということでこうしたやり取りは必要なのかもしれませんが、もう少し高くないと割に合わないというのが本音です。

収入:60万

文字起こし:4万

校正:5万

差し引き51万

かかった期間:約2ヵ月半

単価がそれほど高くなくてもサクサクと大量にこなせる案件をとったほうが良いのか、単価の高いものを取った方が良いのか、意見は分かれるところです。もちろん、個人の向き不向きもあるでしょう。かなり前の話ですが、ご参考までに。

※実際のストーリーをもとにしていますが、守秘義務の観点から一部フィクションです。

(文:しらいはるか)

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