【FP解説】節税には意外なデメリットも?フリーランスにおすすめの節税法

シリーズでお届けてしている「フリーランスの確定申告」。前回は経費や領収書について解説しました。経費は課税所得を下げて節税効果を高めるには効果的ですが、その効果があるものはなにも経費だけではありません。そこで今回は賢い節税をテーマに、おすすめの節税方法を紹介していきます。

フリーランスにおすすめの節税方法は?

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個人事業主の場合、自身で節税を心がけるかどうかで、税金が大きく違ってきます。確定申告をしていくうえで、節税は気になるところですね。フリーランスにおすすめの節税方法として以下のものを解説していきます。ここで紹介するものは簡単で節税効果が非常に高いものなので、ぜひチェックしてください。

・医療費控除

・小規模企業共済

・iDeCo

 

医療費控除

医療費控除とは年間の医療費が10万円を超えた場合、所得から控除できるものです。たとえば、年間の医療費が15万円だったら5万円、20万円であれば10万円の控除が可能です。この医療費の金額は個人のものだけでなく、同一生計の家族分も含まれます。

ただし、ここでいう医療費とは治療を目的にした場合の費用です。風邪を引いた時の内科での診療や、助産師による分娩の介助が医療費に該当します。

また、2017年の確定申告からセルフメディケーション税制が創設されています。これは、ドラッグストアで購入した薬のなかに対象となる商品があれば控除できるというものです。控除の対象となる金額は、12,000円を超える部分で控除限度額は88,000円分となっています。

医療費控除との併用はできないものの、12,000円であれば該当する方も多いのではないでしょうか。それまでの医療費控除は、主に通院だけで10万円を超えなくてはならなかったため、上手に活用できている方は多くありませんでした。しかし、このセルフメディケーション税制によって、控除のハードルは少し下がったと言えるでしょう。

他にも、確定申告の際に明細書の作成や領収書の保存義務がありますが、添付義務はないこともセルフメディケーション税制のポイントです。

小規模企業共済

フリーランスには退職金がありません。このあたりを不安に思っている方も多いでしょう。そこで活用したいのが小規模企業共済です。小規模企業共済は、毎月自分で積み立てて事業を辞める時に受け取る仕組みとなっています。

言ってしまえば、自分に退職金を準備するようなもの。この小規模企業共済は金利が1%から1.5%となっており、銀行よりも高い水準を保っています。また、掛け金も500円単位で自由に設定できるため、収入に応じた運用が可能です。加えて節税効果も高く、掛け金は全て控除の対象になります。

中小機構のホームページに加入シュミレーションがあるので、気になる方は一度シュミレーションを利用してみてもいいのではないでしょうか。

iDeCo

小規模企業共済が退職金をフォローするものなら、iDeCoは年金をフォローするものです。節税効果や、掛け金を自分で決定できる点は小規模企業共済と同様です。

では、その違いはと言うと、iDeCoは株や投資信託といった金融商品を選び、代わりに運用をしてくれるのです。このように、運用に手間がかからないことからiDeCoに加入する方は年々増えています。さらに大きなメリットとしては、通常の資産運用の利益には高い税率がかかりますがiDeCoであれば非課税であること。

反対に一つ注意点を挙げるとすれば、年金のフォローを行うものなので60歳まで受け取れないことです。ただ、60歳まで「減らすことなく貯め続ける」ことにはつながります。

賢く節税!けれども意外なデメリットも?

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節税と聞くと得をするようなイメージです。しかし、上手に行わないと、意外なところで損をしてしまうかもしれません。

仕事で使っているものであれば経費にできます。そして、その経費を所得から引いたものが課税所得です。経費として処理した分が節税につながると言えますが、反対の視点から考えると、課税所得が少ないということは稼ぎが少ないもとられます。

「生活に支障がなければいいのではないか」と考える方も多いと思いますが、注意しておかなくてはならないことがあります。

それは、住宅ローンの申請や賃貸物件を借りたり、事業の融資を希望したりする場合です。これらの審査では、何かしらの所得が確認できるような書類を出さなくてはいけません。その時に所得が少ないと、先方としては「本当に返済できるのか」と懸念してしまうのです。

上記のような審査を受ける予定の方は所得を大幅に下げない程度の節税を考えておかなくてはなりません。

上手に節税してお得をつかもう

お伝えしたように、所得を下げすぎてしまうとデメリットが発生してしまうこともあります。やはり、節税は所得と経費控除のバランスを考え、上手に行なっていきたいところ。今回紹介したような小規模企業共済やiDeCoであれば、節税をしつつ将来の不安への備えにもなります。上手に節税、上手に貯蓄し、将来に備えていきましょう。

文・佐藤誠

佐藤誠
神奈川県在住。電子書籍作家としても活動中の子育てに日々奮闘中のwebライター。
得意ジャンルは子育て・飲食・転職。
「伝える」をテーマに日々執筆に励んでいる。
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