【フリーランスとして生きる13】ライター TAKAHIRO

フリーランスとして活動している方にリレー形式でエッセーを執筆いただいています。第13回はフリーランスとして活躍中のTAKAHIROさんです。

 

現在ライターメインでフリーランスの事業主として活動しているTAKAHIROです。

僕は元々ライターとかフリーランス志望だったわけではなく、結果としてフリーランスになったというのが正しいでしょう。

会社員にもフリーランスにもこだわりはなく、自分にとってプラスになりそうな方向にシフトしていったら今の位置に落ち着いた…と言う感じです。

「こんなフリーライターもいる」という「希少な珍獣」を見るような視点で読んでいただければ幸いです。

無駄に長く(4500文字ありますよ!)、あんまりためになる話もないので、暇な時間にコーヒーや紅茶、カントリーマアムを用意して気楽に読んでください。

「とにかく収入を増やしたい」と副業で始めたWEBライター

 

フリーランスになる前、僕は田舎の小さな会社でサラリーマンをやっていました。

仕事はそんなにきつくなかったものの、手取りは15万円、昇給ベース年1,000円(1年ごとに月収+1000円)とかいう「色々お察しください」な会社でした。

僕の中のイメージで漠然と「このくらい給料あったらいいなあ…」という金額が月収30万円ほど。

ですが、この会社で手取り30万円にするには、あと150年近く勤務しないといけません。
この170cm50kgという貧弱なボディがそこまで長持ちするとは思えません。

人生の先(底?)が見えてしまった僕は、生活の向上を図るべく「第二の収入」を模索。

「副業」について本屋やネットで色々調べ、その中で自分でもできそうだな、と思ったのがクラウドソーシングを利用したWEBライターでした。

子どもの頃からワープロ(パソコンではなく、ワープロです)で小説を書いていたおかげで、タイピングスピードには自信あり。
タスク作業の500文字~1000文字くらいなら1~2時間で終わるし、とりあえずやってみよう!というノリで登録したクラウドソーシング。

とはいえ、初めてのタスク時は緊張して「作業を開始する」ボタンがなかなか押せず30分ほどパソコンの前で悶えてました。

意を決して「作業を開始する」ボタンをクリックし、文章を書く。
初めてのタスクは1時間で500文字の記事2本、報酬にして300円ほど稼ぎました。

文字単価にしたらわずか0.3円、時給換算でたった300円です。

それでも会社ではなく、自分の力で稼いだ300円にその当時ものすごく感動したのを覚えています。

自らの力でお金を得る方法、そして楽しさを覚え、今後このWEBライティングで毎月の食費くらいは稼ごうと決意。

ところが、ここで一つ問題が。
当時の会社は副業禁止で、社長に許可をもらう必要がありました。

「副業させろ。じゃなきゃ会社辞める。」

という脅し…じゃなくて僕の誠心誠意と熱意の塊のような直談判が社長の胸を打ち、無事副業OKをもらうことができました。

こうして昼間は会社員、夜はWEBライターとしての活動がスタート。

もちろん最初のうちはそれこそタスクばかりで、時給換算したら200円とか…高くても500円とか…

それでも、以前のように会社から帰ってテレビやゲーム、SNSで時間を消費していたころに比べれば、数百円~1,000円でも毎日収入を生み出せるようになったのです。

クラウドソーシングを始めて数ヵ月後にはプロジェクトを安定受注できるようになり、1日2時間前後のWEB ライティングで月3~4万円ほど安定して稼げるようになりました。

華麗なるフリーランスへの転身…だと思ってた

 

クラウドソーシングで毎月コツコツと稼ぐ生活を始めて1年ほど経った頃。
会社でいつも通り仕事をしている時でした。

突然、僕の脳内にいる悪魔がこんなことを囁いたのです。

(…本業よりもフリーランスの方が稼げるんじゃね…?)

そう、本業8時間+副業2時間の10時間をすべてWEBライティングに充てたら単純計算で会社の給料を楽々上回ることに気づいてしまったのです。

収入はもちろん、何よりフリーランスになったら自分の力で、自分の気の済むまで仕事ができる!

36協定だなんだかんだと残業にうるさい会社に左右されず、24時間働ける!

元々仕事が好きというか、ワーカーホリックな性格だった僕は、「事業主」という自分を極限まで酷使させることができる生活を夢見て、会社を辞める決意をしました。

…書いてて思ったんですが…僕、病院行った方が良いですよね?

それはともかく、決断力だけは無駄に高い僕はその日の夜に辞表を書き、次の日に即提出。

確か11月だったので、早く提出しないと年内に退職して年明けに事業届出せないな、とかそんな理由でした。

あの時の社長、すみません。
僕のせいではなく悪魔の囁きのせいです。

でも一応、この場を借りてお詫び申し上げます。

そして翌年の1月に僕は開業届を出し、晴れてフリーの事業主になりました。

ところがどっこい、世の中そんなに甘くない

 

これで10時間以上フルでWEBライティングの仕事入れて稼げる、と意気込んで事業をスタートしたものの、意外な落とし穴が。

会社員時代、副業用に毎日2~3時間程度の案件を獲得するのは比較的簡単でした。

ですが、事業として毎日6~10時間分の仕事をクラウドソーシングで安定的に獲得するのって異常に難しいんです。

無数にお仕事のあるクラウドソーシングと言えど、自分ができそうなジャンル、なおかつ生活していける単価の案件が毎日定期的に出てくるわけじゃありません。

出てきたとしても、クラウドソーシングに登録している数万人ものライターさんたちと仕事の奪い合いです。

イメージとしては芥川龍之介の「蜘蛛の糸」でしょうか。
1本垂れ下がる案件にライターがわらわらと…表現悪いですね、すみません。

特に1円以上の高単価案件(クラウドソーシングでは比較的高いうちに入ります)は普通のライターさんはもちろん、ベテランのトップライターさんたちとも競合になります。

そんな中で、条件のいい案件を安定的に獲得するのは不可能でした。

なんてことだ…意外な盲点だったぜ…
このままじゃWEBライターとしてやっていけない…

開業一年目、さっそく廃業危機です。

早すぎます。

せっかく事業主になったんです。
せめて1回くらい確定申告させてください。

この時、本気でそう思いました。

デジタル時代に逆行し、アナログ営業方法に切り替える

クラウドソーシングだけで仕事を安定受注するのは難しいと感じた僕は、営業方法を見直すことに。

もちろん、あのままクラウドソーシングに噛り付いてトップライターを目指す道もあったでしょう。

ですが、僕がその道を目指すためには足りないものが多すぎました。

  • 才能
  • 知識
  • 経験
  • 貯金
  • 資産
  • お金
  • 現金
  • MONEY

このように、ありとあらゆるものが乏しい僕が、ある程度短期間でそれなりの収入を得ようと思ったら、他の人と同じことをやっていてはだめだ、と思ったんです。

そこで今まで通りクラウドソーシングで取れる案件は取りながらも、並行してアナログな営業方法を行うようにしました。

まず、ハッタリがききそうな、両面に印刷の入ったおしゃれな名刺を作る。

そしてとにかく配りまくる。

ビジネス交流会やコワーキングスペースへ積極的に参加して配るのはもちろん、ランチや飲みに行ったお店で出会ったお客さんや店長さんにも名刺を配る。
(ただしすぐ道端に捨てそうな人には渡したらだめですよ?名刺は自分の分身です)

100枚配って1個ご縁があればいい…そういう気持ちの「数打ちゃ当たる」方式で名前を売っていきました。

幸い僕の地域では思っていた以上にライターの需要があり、徐々に名刺経由で仕事が入ってくるようになりました。

中には名刺を渡した覚えのない方から、「〇〇さんからの紹介なんだけど…」とお仕事に繋がったケースもあります。

ライターの不安定さに恐怖を感じ、ネットショップをオープンする

出典:photoac

 

アナログ営業で多少お仕事が取れるようになったとはいえ、ライター(というかフリーランス全般)の仕事は超変動制。

どんなに営業を頑張っても仕事は月によってバラバラ。

仕事自体はあっても苦手な記事や単価の低い記事といった、効率の悪い仕事が続けば収入はがた落ち。

専業ライターという不安定な経営方針に、僕の脳内コンサルタントはだいぶ前から警告を発してました。

そんな安定しないライター収入を補うため、2018年に「古物商許可」を取り、BASEやメルカリなどを利用したネットショップをオープン。

リスク分散&収益安定のためにライター1本でではなく、全く別の異業種も並行して経営していくことにしました。

もはや自分が何屋かわかりません。

ただ、この時始めたネットショップは現在なぜか完全に軌道に乗り、僕の体力や睡眠時間と引き換えに、毎月それなりの収益を出してくれています。

ライター収入が少ない月はずいぶんこっちの事業に助けられました。

こうしてクラウドソーシング+アナログ営業+ネットショップという方法で、現在に至るまでなんとか生活していけるだけの収入を確保できています。

フリーランスの戦い方は一つじゃない(とかっこよく締めてみる)

 

会社員と違い、フリーランスはひよっこだろうが駆け出しだろうが何だろうが、いきなり超一流の人たちと同じ土俵に立たされる厳しい世界です。

そんな厳しい世界の中で成功というか、ある程度満足のいく収入を得るためには、様々な努力や工夫といった「戦い方」を考える必要があります。

1つの道に100%のエネルギーを向けるのも良いでしょう。

ですが、1つの道に100%のエネルギーを向ける戦い方は、成功への可能性を上げる一方で、逃げ道がなくなるという危うさもあります。

ライバルだらけの茨の道で思うように稼げなくなった時、自分の生活も守れませんし、心も折れてしまいます。

そのリスクを取れなかった僕は、収入源を増やしてリスクを分散し、柔軟に対応する戦い方を選びました。

  • ライティングはするし
  • ネットショップは開くし
  • 投資はするし
  • アクセサリーは作るし
  • カメラマンはするし
  • 講師もするし
  • WEBサイトのモデルはするし
  • 冬はお年寄りの家の雪かきもするし

このようにライターとは別の仕事を事業に組み込み、複数の収入源を持つことで収入が安定し、さらにはその事業の経験がライターの仕事にもつながります。

実際、投資やネットショップ運営で得たノウハウで何記事も依頼を頂きました。

フリーランス、フリーライターにとって、いざというときのために「複業」を持つという選択肢は決して悪くないと思います。

正解かどうかはわかりません。
色々な考え方や意見はあると思います。

ですが、少なくとも僕はそのおかげで現在も廃業することなく、フリーランスとして生計を立てることができています。

…僕は極端すぎるというか、脱線し過ぎだと思いますけどね。

フリーランスの最大の利点は「自由であること」。

法律に反しない限り、働き方や戦い方にルールやセオリーはありません。

僕はこれからも「法律に反すること以外はなんでもやるライター(笑)」をモットーに事業を続けていきたいと思っています。

文:TAKAHIRO

TAKAHIRO
長野で活動する「代筆家(ゴーストライター)」。
文章が苦手な方の代わりに、伝えたい想いを文字に起こしています。依頼があればどんな記事でも書くし、なんならライター以外の仕事もやる。幅広いジャンルで書ける雑記ライターとしてすくすく成長中。ブログはこちら→「人生の箸休め
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