【フリーランスとして生きる3】ボーボーママさん

フリーランスとして活動している方にリレー形式でエッセーを執筆いただいています。第3回はフリーランスとして活躍中のボーボーママさんです。

20年後の君は、フリーランスの両親に何を思うだろうか

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「フリーランスになる!」と宣言して、両親から猛反対を受けた。そんな話を耳にします。

ある人は、両親に反対されフリーランスをやめたり……。
またある人は、フリーランスであることを秘密にして活動を続けていたり……。

働き方改革・一億総活躍社会・持続可能な開発目標を掲げ、「地球上の誰一人として取り残さない」と叫ぶ世界は、なんとなくな雰囲気ばかりで、日本ではまだまだ『フリーランス』に対する偏見が残っています。

そんな現代において、私はレアなケースなのかもしれません。

なぜなら、母である私、父である夫も『フリーランスとして働きながら子どもを育てている』からです。

待機児童の経験があったからこそ、今の私がある

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私がフリーランスとしてWeb関連の仕事を受注し始めたのは、今から3年前、長女が0歳9ヶ月の頃。夫の仕事がうまくいかずギリギリの生活を送っていました。

働きたいときにヒョイっと申し込んで、保育園に入園できるわけではありません。そうあるべきなのに……。そう、私たちが住む地域は待機児童激戦区だったのです。

「働きたいけれど、保育園に入れそうもない!」早く働きたい気持ちと、生活への不安は膨らみ続けていました。保育園入園の目処が立たなければ行動すら起こせないからです。

そんなある日、「やりたいのにできない」というフラストレーションで爆発しかけていた私は、クラウドソーシングに出会います。

当時、パソコンは壊れていたし、ネット回線も繋がっていませんでした。それでも、「アンケートとかなら、スマートフォンでも挑戦できるんじゃ?」と思い登録してみることに……。

すると登録1週間後には、タスク作業で1万円を稼ぐことができたのです。

「たった1万円?」そう思うかもしれませんが、働きに出られなかった私にとっては、100万円くらいの価値ある1万円でした。

保活で知った、フリーランスに対する世間のイメージ

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在宅ライターをはじめて4ヶ月後、私は月収30万円の壁を突破して、ギリギリの生活から脱出できました。
けれど、一安心とはいえません。なぜなら娘の保育園が決まらなかったからです。

それから私は開業届を提出して、入園申込書を訂正しました。(フリーランスの場合、開業届けを提出することではじめて、『働いている』証明になるのです。)

訂正する際、区役所職員とヒアリングを行うのですが……そこでいわれた言葉は今でも鮮明に覚えています。

「お母さんのお仕事は在宅だし、危険を伴うような職業ではありませんよね?保育園、必要ですか?」と。(笑)

職員も悪気があったわけではないけれど、「これがフリーランスに対する世間のイメージなのか……」とガッカリしました。

最近では『子連れ出勤』が話題となっていますが、「子どもを見ながら仕事はできる!」と思っている人が想像以上にいるんです。そのイメージは完全に『幻想』と言っていいでしょう。

『小さい子ども』と思うかもしれません。しかし、『小さい子ども』こそ予測不可能なのです。とくに1歳を迎えると、目に見えるものすべてに興味を抱きはじめます。

触ってほしくないものに手を伸ばし、行ってほしくない場所に足を運び・・・とてもじゃないですが、仕事をしている場合ではありません。

『危険が伴う職業』云々ではなく、何をしていても危険を伴うのが子育てですから……(笑)

在宅育児・在宅ワークの葛藤と、続ける理由

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私は、娘が寝ている深夜や早朝などの『隙間時間』を駆使して、パソコンを見つめ、キーボードを打ち続けました。

娘と一緒にいるときも、スマホで連絡を確認したり、リサーチしたり……。
もしかすると、赤ちゃんだった娘の顔より、スマホやパソコンの画面を見ている時間の方が長かったのかもしれません。

「小さな娘との時間は人生に一度しかない」と頭では理解していたものの、そんなことも言ってられないほど、必死にならなくてはいけない理由がありました。
この子がいるから、食いっぱぐれている場合ではないのです。

そして、娘が1歳6ヶ月のとき、週に3回、一時保育に通えることが決まります。
加えて、私は第二子を妊娠。そして娘はというと……イヤイヤ期に突入しました。

パソコンを触っている=自分に興味が向いていないということを認識していたのか、起きているときに仕事をしようものなら、パソコンを叩く始末です。(笑)

溜まっていく仕事と、大きくなるお腹を抱えた私とイヤイヤガールが共に歩んだ十月十日は、お腹の赤ちゃんのことより、「仕事大丈夫かな……ていうか下の子も保育園に入れるんだろうか!?」という不安が24時間へばりついていました。

その甲斐あってか(?)第二子を出産間近となったある時期に、運良く長女の保育園が決まります。
神様、あなたの存在は信じていないけれど・・・お礼をいいたい、ありがとう!

現在、3歳と1歳になった子どもたちは同じ園に通えています。クライアントのご好意もあり、なんとか仕事も続けられているのですが、あのまま2人を見ながら在宅ワークをしていたら、ますます鬼の形相になっていたかもしれません……。

20年後、君が答えを出すときも、かっこいいお仕事でありたい

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娘と一緒に歩んだ在宅ワーク・フリーランスの保活・妊娠・出産を振り返ると、「もっと遊んであげたらな」と後悔します。

急ぎの仕事が入った日は、かまってほしそうにしている娘にイライラすることもありました。

パソコンを触られて、データが消えてしまったこともありました。

「子どもを育てるために働いているのに、当たってしまうのは本末転倒なんじゃ?」と悩んだこともありました。

私には何が正解かはわかりません。
家にいても仕事ばかりでかまってあげられない『母親』に対して、娘が答えを出すのはいつでしょうか。それは、20年後かもしれません。

それでも私がフリーランスとして働き続けられるのは、まぎれもなく娘の存在があるからです。

「ママの会社はどこにあるの?」と尋ねられ「お家だよ」と答えたときは、さすがに残念そうな顔をしていましたが……(笑)

しかし、最近は、パソコンを見るたびに「ママのお仕事道具だね」とか「ママのお仕事かっこいいよね」とか、嬉しいことを言ってくれます。親バカですが、かわいいでしょう?

ママやパパの会社とか、出社する姿とか。そういうのを見せてあげられないのは、ちょっと残念ですが。20年後の君の目にも、『かっこいいお仕事』をしているママとパパであれたらなと思います。

(文:ボーボーママ)

ボーボーママ(在宅ワークコンサル・ライター兼ディレクター)

26歳・2児の母。第一子が待機児童となり働けず、生活が厳しくなったことをきっかけに在宅ワークをはじめました。
現在はブログ運営やディレクター業、在宅ワークアドバイスなどを行っています。

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